その場で最適と思った判断を積み重ねた今のキャリア

身近にいそうな誰かの人生観をはじめとしたキャリアストーリーをお届けするインタビュー記事。第2回は、Webデザイナーからデジタル広告の営業まで広く活躍する傍ら、CAREER PLANTSのエンジニアとしても新たな一面を発揮する藤田綾子さんを紹介する。様々なライフステージを、自身の感性で見定めながら前向きに進み続ける彼女の原動力を、仕事だけでなく、趣味や興味関心事に絡めながら振り返って頂いた。

 

“海外に触れる”を意識していた高校・大学時代

 

マーチングバンドが全国大会レベルだったこともあって、高校在学中はとにかく部活のために生きていました。大学受験の第一志望は地元の法学部法学科。実家が服飾屋ということでもともとはデザイナー志望だったのですが、親からは「大学出ていたほうが将来役に立つ」と言われて、とりあえず行ってみようかなと。

 

正直、法律の勉強は全然楽しくなかったです(笑)。でもいま振り返ると、論理的な思考プロセスや人に納得してもらうスキルが養われたのはこのころかな、とも思うので後悔はしていません。もちろん学校には真面目に行ってましたしね。アルバイトも学習塾のテキスト作成と深夜のファストファッションチェーンをかけもちで働いていました。アルバイトをしたお金で海外旅行、というのを大学時代はずっと続けていました。

 

海外志向が強くなったのもこのころかな。美術館や海外の建築物を見るのが好きだったので、現地の空気感と日々の暮らしを垣間見られる旅の時間が楽しかったですし、日本にいると考えられないようなことが当たり前に起きる非日常の中に身を置くのが心地よかったです。

 

 

先々を見越して身につけたCADスキル

 

大学卒業後は東京の友達のところでお世話になりつつ、アルバイトしながらお金をためて、夜間のデザイン学校で服飾パタンナーの勉強をしていました。アルバイト先では事務仕事をしていたのですが、そこの社員さんから「何か技術を身につけたほうがよいよ」と言われて、CADや製造の職業訓練校を紹介してもらって入学することになりました。

 

「服飾のパターニングは将来的に機械がやることになるんじゃないの?」と言われたのも大きかったです。服の設計だけでなく、広い視野でものづくりを学んだほうがよいと考え、学校ではハード・ソフトの両面からコンピューターの知識を身につけました。インターネット黎明期の2001年当時、時代を先取りしている感覚はありましたね。

 

その後、学校から紹介された半導体メーカーの工場に就職して、製造ラインの出荷やPC組み立て、はんだ付け、CAD設計を担当。半導体の業界全体が活況だったので、あっという間に新車を買えるぐらい貯金ができました。ただ、仕事がちょっと惰性的になってしまったこともあって、環境を変えようと転職活動を始めたときに見つけたのが、Webデザインのお仕事でした。

 

現場の仕事を続けていってもよかったんですが、上に上がるためには機械の知識が必要で、理工系大学の卒業資格が必要などの制約があったので、まだ20代前半でいまならキャリアチェンジできると転職を決めました。

 

 

 

 

Webデザイナーとして、一つ一つを糧にして、一歩一歩を着実に

 

デザイン会社ではCADでイラストを描いたり、Webサイトのデザイン、eラーニングコンテンツやFlashの制作の他にも、データベースや業務システムの構築を手伝うなど、幅広くやらせてもらっていました。また、学校やセミナーに参加させてもらって、HTML5やCSS、将来を見越してJavaScriptを勉強していました。技術を身につけていくのがとにかく楽しかったですね。課題と向き合って最適解を導き出すのが性格的に好きなんだと思います。

 

入社8年目ぐらいに結婚をして、さあこれからというときにその会社が突如倒産してしまい、専業主婦になることに。何か自分にとってプラスになることをしようと中国に留学することにしました。子供もいなかったですし、主人も働いていたので、どうせやるなら現地で中国語を勉強したいと北京電子大学に2カ月間だけ短期留学をしました。

 

帰国後、1年程Flashバナー作成の会社に転職し退職。子供が欲しかった為派遣社員で働いて、そのままの状態でのほほんと働こうと思っていたんですが、条件がマッチして正社員として働くことになりました。
外資系に入ったことで英語スキルも上がりましたし、営業では着実に実績を重ねており楽しく仕事をしています。

 

 

いま決めているのは《10年後・実家・民宿を経営》だけ

 

今後は……特に決めてません(笑)。
あ! 一つ決めているのは10年後に実家で民宿をやること!

 

キャリアについてはいくら悩んでも正解は出てこないですよ。どれだけブランクがあってもやり直せますし、主婦になっても離婚しても会社に戻れます。怖がらずにやりたいことをそのタイミングで始めてみてほしいですね。

 

ただ一方で、戻ってこられる場所をしっかり確保しておくことは大切だと思うので、やみくもにチャレンジするのではなく、先々を見越した上でまわりとも相談しながら、一歩ずつ前を向いて進んでほしいと思います。