身近にいそうな誰かの人生観をはじめとしたキャリアストーリーをお届けするインタビュー記事。第28回は、システム会社からスタートしたものの、自身の成長や「やりたいこと」を突き詰め、”キャリアサポート”の仕事に転身された貴志さん。キャリアコンサルタントの資格も取得し、キャリアサポートという仕事で感じていることも併せて語っていただいた。
部活の経験で興味を持った心理学
高校は学力的に無理のない範囲で通える学校を選びました。
偏差値が高めのところもチャンスはあったんですが、毎年マラソン大会があると聞いてやめておこうと(笑)。運動すること自体は好きだったので、部活はソフトボール部に入りました。
練習はほぼ毎日ありましたが、私は行ったり行かなかったりですごくゆるかったですね。部員が少なくて大会に出られないぐらいだったので、おおめに見てもらっていたのかもしれません。
部員が少なかったのは文化系も同じで、高2の夏に友達から「吹奏楽部の部員が足りないから手伝って」と頼まれて、助っ人のつもりで入ったんですが、案外楽しかったのでそのまま居残ることに。
ただ3年生になってからまわりが急に受験モードに入ったので、興味があった心理学を学べる学校、しかも推薦で受けられるところを探し始めました。
心理学に興味を持ったのは、中学の時からやっていた吹奏楽部の経験がきっかけです。
集団で演奏をする吹奏楽は、一人ひとりがどういう音を出すかをそれぞれ意識してテンポやタイミングを合わせるわけですが、なぜ意識するとうまくいくのか? 意識ってそもそも何? という素朴な疑問をずっと持っていました。
演奏にイメージってありますよね。
なんかこう、この曲のこのフレーズは「晴れている印象で」とか「雲から光を指すイメージもらえる?」っていう会話が普通に飛び交うわけですが、そういうイメージをみんなでうまく共有できるかどうかがそのまま演奏に反映されるわけです。これはきっと楽譜だけ見ていても伝わらない意識のチカラだと思っていて。
そんなことから、心理学に興味を持っていました。
進路について親には相談しませんでしたし、親もそこまで深く干渉してくるタイプじゃなかったので、学校選びで困ったりまわりから反対されることもありませんでしたね。
結果として、推薦で受けた立正大学に合格、進学することに決まりました。
勉強よりもバイトとボランティア
大学時代は「勉強3割/バイト5割/残りはボランティア活動」という感じ。
アルバイトは高校時代からやっていた結婚式や披露宴の配膳バイトをそのまま続けていました。
当時、コンビニのアルバイトの時給が800円ぐらいのところ、配膳バイトは高校生でも1100円。時給がよかったのと、準備~宴席~片付けの効率を考えて仕事をするのが面白かったです。
ボランティアは、就職活動が本格的になる前に大学3年からはじめました。
小学生向けのイベントを企画したり、地域の子どもたちと地区センターで開催するイベントのお手伝いをしていました。一緒に遊んだり勉強もして、これもすごく楽しかったです。
小学生のとき、地域のお兄さんお姉さんがスタッフとして企画してくれるキャンプやキャンプファイヤーが大好きだったんです。就職したら時間がなくなると思ったので、やりたいことはいまのうちにやっておこうと。
肝試しやクラフト体験イベントを考えたり、横浜・みなとみらいの帆船日本丸の船内に泊まったり、子どもたちの思い出づくりをお手伝いできて私にとっても素敵な時間の宝物になりました。
正直、ゆるく選んでしまった就職活動
就職活動は業界も企業もかなり迷いました。
学校で学んだことを活かして心理学に関わるお仕事や、ボランティアをしていたことから教育事業にも興味がありましたし……。大手もベンチャーも企業規模もまったく決められないまま就職活動が始まりました。
いま思うと、先入観を持たずにいろいろな会社が見られてよかったかもしれません。
大きな会社で決まったことをやるより、勢いがある会社でまずは動いて悩んで前に進んでといった方が自由で面白そうだと思って、ベンチャーに絞っていきました。エントリーシートがない会社も多かったですし(笑)。
そうしてトランスコスモスに入社することになるのですが、決め手は人と会社の距離感でした。堅苦しい面接は1回だけで、あとはすべて面談形式。
人事担当者のお話をして、希望する働き方や他の選考状況をゆるーくおしゃべりする感じでした。そのままの自分を認めてくれるような雰囲気がよかったです。
入社後まずは公共事業のシステム改修案件のマニュアルをつくっていました。
Wordで5ページぐらいのマニュアルだったんですが、手探りで進めていったら原型をとどめないぐらい赤字を入れられて(笑)。最初から「仕事」への意識をガツンと教え込まれたのがよかったです。
その後はBPO(業務の外部委託請け負い)という名のもと、土地の登記簿をスキャンしたり、事務作業、マニュアル制作、問い合わせ対応などいろいろ経験させてもらいました。また、3年目以降はリクルート案件をメインでやらせてもらって、データベース集計などのスキルアップや求められるクオリティの高さを思い知らされる毎日でした。
やるべきこともデイリー/ウィークリー/マンスリーで細かく分かれていて、スピード感も求められ、「どうやってミスせず、しかもスピーディにやるか」という意識を磨くことができました。
将来の不安から、「本当にやりたいこと」にキャリアチェンジ
退社する前の2年ぐらいはクライアント先で働いていましたが、自社オフィスに戻ることになったときに「この仕事いつまでやるんだろ?」と思うようになってしまって。仕事と向き合う姿勢ややりきる意欲を“外”の人と比べたとき、仕事へのスピード感、やりきる意欲みたいなものがまったく感じられなかったんですよね。
次を考え始めたときに候補に上がったのが、キャリアコンサルタントでした。
IT業界のブラックな環境で病んでいく人たちを見て、大学で学んだ心理学を何らかの形で役立てられないかなと。答えを見せてあげる、ゴールへ導くのではなく、正解や進むべき道をその人自身が見つけるサポートをするキャリアコンサルタントが、私のやりたいことにマッチすると確信しました。
資格勉強はとても楽しかったです。
「やりたい!」と思える仕事にようやく見つかった気がして、これまでで一番真剣に勉強したかも。そしてまた資格を取るだけでなく、学んだことを活かして“いい仕事”ができる環境を探しているときに出会ったのが、いま働いているアールストーンです。
売上を追い求めるあまり、企業や求職者に寄り添いすぎてしまう人材営業やコーディネーターは私には合わないと思っていたので、双方にとっての“いい転職”を意識したマインドがあるここに入りたいとアピールしました。
一番影響を受けた先輩とはその後2年ぐらい一緒に仕事ができましたし、人材エージェントとしてのあり方や仕事への向き合い方をあらためて身につけることができました。会社、そして一緒に働く人を「自分で選んだ」というのが私の自信にもつながった気がしています。
将来の自分の輪郭を、少しでも形にするようサポート
将来のことを考えるのって本当に自由。
そしてまた思い描くイメージは、5年後のことでも10年後でも逆に3日後のことでもいいと思います。
環境や場所、仕事内容に年収など、実現したいことはなんでも描けますし、考えちゃいけないこともありません。
自分の気持ちのままにイメージすればいい。
それを言語化して発信していけば、叶う方向にも近づいていけるはずだと思っています。
なりたい姿があればまわりに言いふらすぐらいがちょうどいいと思いますよ。
そんなとき、自分だけでは見えなかった“まわり”の部分を形にするのがキャリアコンサルタントの役目です。
迷い、悩み、本来の力を発揮できない“普通の人”の助けになれたらうれしいですね。
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