自分の本質に向き合い見つけた 自分らしい働き方

身近にいそうな誰かの人生観をはじめとしたキャリアストーリーをお届けするインタビュー記事。第26回は、アパレルメーカー勤務、ゲストハウス勤務を経て、社会福祉系の組織で勤務している櫻井俊介さん。自分と真摯に向き合うことで、自分に合った働き方を見つけるに至った経緯や、CAREER PLANTSのキャリア相談を受けた体験談を語ったいただいた。

 

自分らしさと葛藤した学生時代

 

自分で言うのもなんですが、小学校のころは本当にいい子だったと思います(笑)。

行儀もよかったですし、友達の家に遊びにいくとその子のお母さんに「えらいわねえ」って褒められるタイプ。

親に「人様に迷惑をかけちゃダメだよ」と口すっぱく言われていたからだと思いますが、しつけに厳しかったわけでもなく、どちらかというと放任主義でした。

 

だからなのかもしれませんが、いつでもまわりの視線を気にしていたかもしれません。

みんなと接している自分と内面の自分とのギャップに悩むこともありました。

それでも高校時代は楽しかったですよ。友達関係も良好でしたし、勉強するのも楽しかった。

生徒会もやっていたので先生からの評価もよく、大学には指定校推薦で行くことになりました。

 

大学ではバイト、ゼミなど、少しでも興味を持ったことに全力で打ち込もうと決めていました。

サークル活動としてライフセービングを始めたのは、中学校のころから持っていた、体育会系の人たちとのコミュニケーションが苦手というコンプレックスを克服したかったから。

結果的に苦手意識は消えましたが、そこまで得意にもなりませんでしたね(笑)。

 

ゼミは世界経済論という研究室を選びました。

「きみたちは社会のお客さんになってはいけない」という教授の言葉が心に残ったのと、教授がアジア経済における貧困問題の専門家だったことが決め手です。

社会に貧困が生まれる理由に関心がありましたし、経済的な事象を含んでいる研究内容であれば好きなことをやれたのもよかったです。

 

好きなこと、興味があることに打ち込める学生生活は本当に楽しかったんですが、まったく興味がないことも同じように楽しそうに振る舞っている自分に嫌気がさしていました。

その最たる例が就職活動です。テンプレ的な受け答えをするのが本当にツラくて、説明会に行き、エントリーシートを出し、面接対策を行うという“作業”が苦行でしたね。

画一的というか、相手が求める理想的な答えを試されている気がして…。

自分自身としてはいろんな生き方があっていいじゃないかと思っていましたが、まわりの友達が“勝ちパターン”を語っていてまったく共感できなかったのも前向きに就職活動ができなかった理由の一つです。

 

そんな中、アパレルメーカーから内定をもらうことができました。

国内の繊維産業が衰退している中、国内の自社工場で商品を製造し販売していることを知り、説明会の雰囲気もフランクで居心地が良かった。ここで頑張っていきたい!と意気込みもありましたが、正直仕事が決まってホッとした、という安堵感の方が強かったです。

 

 

新社会人として求めた働き方

 

入社後は生産管理として、秋田にある自社工場の生産サポートを任され、展示会で受注した商品の発注業務や生産スケジュールの進捗確認、物流管理など、ものの流れ全般を見ていました。

ものづくりの現場でスタッフと直接話しながら、一人ひとりをサポートできたのはやりがいが大きく、自信になりました。

 

国内生産の現場を知っていく中で、その素晴らしさを発信したい気持ちが強くなっていきました。

社会構造が変わり卸売の規模が減っていく中、Made in Japanの質の高さや、生産過程を明らかにできるトレーサビリティを徹底している会社の姿勢を世の中に広めることに価値があると思うようになったのです。

 

ただ、残念ながら社会人になかったばかりで出来ることはかぎりなく少なくて…。

事務業務やスケジュール管理はほとんど人力での管理で、もっと効率よく出来ないかと疑問を持っていましたが、どこまで正直に意見・提案してよいのか戸惑いながら働いていました。

製品や生産体制は魅力的でしたが、その分そこで働く人たちの“これまで”に凝り固まった働き方に不信感が募り、上司や先輩への敬意も少しずつ薄れていってしまいました。

 

辞めるまでの数年は無力な自分、不甲斐な自分に絶望的な気分でしたね。

転職をしようにも「今の仕事で得たものは? 何もないのでは?」とネガティブな感情が先走ってしまって、この状態を一度リセットするために4年半ほど働いたのち、次の働き先を決める前に退職することにしました。

 

CAREER PLANTSのメンバーと知り合ったのもこの時期でした。

キャリアコンサルタントの関島さんに相談にのってもらうことで、これからにつながる思考の整理ができましたし、あらためて自分が好きなことや何に心を突き動かされるかを見つめ直すことができました。

これが自分にとって大きな転機で、少しずつ転職への姿勢をポジティブに転換していくことができました。

同時に定期的にCAREER PLANTSが開催しているイベントにも参加したことで社外での知り合いが増え、色々な仕事や働き方があるんだと実感できたことも、退職を決意する後押しになりました。

 

 

自分と向き合うことで見つけた自分らしさ

 

そんなとき、友人からポロッと「ゲストハウスで働いているイメージあるよね」と言われてその気になり、鎌倉にある古民家を改修した「鎌倉ゲストハウス」で働き始めることにします。

 

1日の流れとしては、まず午前中にゲストのお見送りや清掃をして、昼過ぎからチェックイン対応。

夜はゲストと一緒に語ったり、仲良くなった人たちと飲みに出かけたりもしていました。

 

プライベートと仕事が良い意味で混在した環境や、人と人とがつながる場所に身を置くのが心地よかったです。

高い目標に対して日々努力するのも大切だけど、毎日ストレスなく、呼吸をするような自然な感覚で仕事ができるのってすごく素敵なことだと思うようになりました。

 

そうした日々の中でも自分が心動かされるものが何か、を模索し続けていました。

そして職場や生活環境は変えることができますが、自分という存在からはいつまでも逃げられないんだと思ったんです。

そこで考え方を変えて、自分の中に常にあり、どうしても考えてしまうこと自体を仕事にしてみようと思いました。

僕にとってその一つが「人が感じている生きづらさに寄り添いたい」という想いでした。

 

その中でも特に、子どもへの支援ができないかと考え、当初は保育業界に転職しようと決意しました。

子どもころから、世の中にはいろんな大人がいることを知っておくのって、大切だと思うんです。

僕は「あのときこの人に出会っていれば、いま全然違う人生だったろうに」とクヨクヨ考えるタイプなので、そういった自分の子ども時代に向き合おうと考えたんです。

 

しかしいくつか選考を進める中、面接してくださった方から、子どもだけではなく大人や高齢者の困りごとをサポートする支援団体を紹介してもらいました。

そしてそれが現職です。

一緒に働くメンバーは、世代も職歴も全然違いますが雰囲気がよく、とても居心地がいいです。

「自分はここにいていいんだ」って思える職場と出会えたのは幸せなことですね。

 

そう思えるようになったのも、ひたすら自分と向き合い、自分の本質を理解しようとしたからだと思っています。

ようやく社会人としてのスタートラインに立てた気もしていて(笑)。

相変わらず悩みはつきませんが、それも自分。それぐらいでいいのではと思っています。

 

転職の経験を経て、思い悩んだときの答えは自分の中にしかないんだと思うようになりました。

だからこそ自分との対話はこれからも続けていきたいと思っています。

同時に、自分と対話するためには人とつながることが大切です。

これからもいろいろな価値観の人と巡り合っていきたいです。

 

 

 

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