「お茶」を通して社外のつながりを楽しむキャリア

身近にいそうな誰かの人生観をはじめとしたキャリアストーリーをお届けするインタビュー記事。第15回は、会社勤めを続けながら、プライベートな時間で「お茶」を通して社外のつながりを広げる 新井彩子さん。学生時代の「お茶」との出会いから、どのように仕事とプライベートを満喫しているのかを語っていただいた。

 

学生時代に出会った「お茶」の魅力

 

高校時代は合唱部で部活漬けの毎日でした。もともと歌うことは好きでしたし、いろいろ部活を見た中で会話のリズムが合う先輩が多かったので楽しめそうかな、と。

実際毎日楽しかったですし、全国大会に出場するレベルだったので学校のみんなといろんなところに出かけられた想い出もたくさんできました。

1年のときはクラスメイトとも仲良くしていましたが、2~3年になると部活のメンバーで固まってましたね。

 

3年の秋まで部活を続けて、引退から卒業まではまさに文字どおり燃え尽きてポケーッとしていました。

そんな私の姿を見て親は「浪人してもいいよ」と言ってくれたのですが、浪人するのがイヤで12月から猛チャージをかけます。

 

姉が経済学部に進学して、税理士になるための資格勉強をしていたのを見ていたので、なんとなくでホントに恐縮ですが私も経済学部と商学部を志望しました。

「数字に弱くても絶対できるし、簿記資格は将来に活きる!」と姉に言われ、それもいいなと思っただけで正直自分から強く望んだ感じではありませんでした。

 

大学に入ってからしばらくはマジメに簿記の勉強をしていました。

まわりに会計士志望の友達が多かったので、大学生になって一気に増えた“誘惑”に負けることなく勉強できたのがよかったですね。

試験は一発で合格できたので、勉強だけじゃない生活をと思い、1年の秋から大宮のお茶カフェでアルバイトを始めました。

 

大宮駅を通りかかったときに求人募集の広告を見つけて、雰囲気と客層が落ち着いたところがいいなと、駅ナカで雨の日も濡れないところを選びました。

 

家からも通いやすいし、という理由で始めたバイトですが、すぐお茶の面白さに夢中になって。

私が淹れるお茶と店長のでは同じ葉っぱでも味わいがまったく違ったんです。

淹れる人や淹れ方によって味が変わるのが衝撃的で、あっという間にお茶の世界にハマりました。

 

2年で税理士の勉強を本格的に始めましたが、そのときはもうお茶の方の興味が強くて、資格勉強はほとんどしなくなってしまいました。

 

 

会社勤めと並行して関わり続ける「お茶」の世界

 

3年の10月からスタートした就職活動では、食品メーカーなど暮らしに身近な製品・サービスの会社を見ていました。

あとは“ニッチな商売”をしているところですね。

一般の知名度は低いけど、その業界では知らない人がいないみたいな会社をたまたま見つけると、だいぶテンションが上がりました。

 

お茶屋さんのアルバイトは続けていましたが、お茶のメーカーや関連する仕事は興味ありませんでした。

バイト先以外のお茶屋さんで働くイメージがつかめなかったのと、他の業界も見てみたかったのが理由です。

親からは「大学出たら自活しなさい」と言われるぐらいで、勤め先に対するこだわりはありませんでした。

 

親は自営業を営んでいて、自由な雰囲気の人です。根本から楽観的で明るいんですよね。

「なんとかなるでしょ」っていうマインドがすごく強くて、その裏返しでいつも私が言われていたのは「何かをやるなら責任は自分で取りなさい」ということ。

 

いまの会社に入ってからは、ずっと経理業務を担当しています。

仕事自体は嫌いじゃありませんし、淡々と業務と向き合えているため続いているような気がします。

一番は自分の仕事量を自分で調整できるので自由がきくところです。有給も取りやすいですしね。

 

ただ、就職から数カ月ほどで閉塞感を感じてしまって。

社内のつながりだけでなく、外のつながりも欲しいなっていう意識が強くなってきました。

 

そんなとき学生時代のバイト先のお茶屋さんの副店長が、お茶のイベントを開くというので参加してみたんです。

そこで出会う人がとってもユニークな人が多くて、最初は参加しているだけだったんですがだんだんと運営も手伝うようになりました。

 

そのうち私も自分でお茶のイベントを開くようになりました。

社会人3年目のときですね。

仲良くなった人のひとりが古民家を活用する活動をしていて、イベントを開いて人を集めたいと思っていたとき「コンテンツとして日本茶がマッチするかも?」と呼んでくれたんです。

 

これもいろんなところで「日本茶で何かやりたい!」と言い続けてきたことがきっかけです。

いまはお茶に関するイベントを自分で開いたり、知り合いにまた違うイベントに声をかけてもらったり、お茶とはまったく関係ないところに人脈を広げたり、刺激がある毎日で楽しいです。

 

 

ほんの少しの心の持ちようで変わる人生の楽しみ方

 

昔はゼロから企画するのが楽しかったんですが、いまは細く長くつなげる場を自分が作れればいいなと思うようになりました。

それもまた、自分が目標としていることが叶ったからなのかな。

 

想いを口にしたり、やりたいことを発信しているとつかんでくれる誰かと出会うこともありますからね。

発信すること、そして発信し続けることは大事だと思います。

 

就職までは「なんとなく流れついた」感じでしたけど、仕事することを楽しくさせようとして無理に転職を考えるのではなく、会社と家庭だけの生活にならないよう意識すればOKなんだと思います。

要は考え方。それでも十分、人生を楽しめますよ。