特技を活かしてチャレンジし 模索するキャリア

身近にいそうな誰かの人生観をはじめとしたキャリアストーリーをお届けするインタビュー記事。第12回は、特技を活かした経験を踏み フリーランスで活躍されている加納宏徳さん。学校ではなく、自宅で勉強する選択から、いかにスキルを身につけ、社会人としてどのように経験を積んできたのか、語っていただいた。

 

学校ではなく 自宅で勉強することの選択

 

小学校・中学校時代は目立つ方ではなかったし、クラスの中でも静かな性格でしたが、好奇心旺盛で新しいことを発見するのが大好きでした。

特に読書に夢中で足しげく図書館に通っていましたし、子どもコーナーに置かされている本を読破した後に大人のコーナーにも手を出していましたね。

タンタンの冒険シリーズやハリーポッター、シャーロック・ホームズといった冒険譚から、『人を動かす』(デール・カーネギー)まで幅広く読み漁っていました。

 

おもちゃが家に全然なかったので、授業で習った立方体の展開図をもとに段ボールで車とかを作ったり、自分で何か手作りするのが楽しかったのを覚えています。

折り紙も好きで、当時流行っていたムシキングのキャラクターを友達に折ってあげたことでいじめっこからの注意をそらしたり、好きがこうじて「日本折り紙コンテスト」で小学4年生のときに世界グランプリまでなりました。

おそらく当時の最年少記録だったと思います。

 

そんな小学生時代だったんですが、「休み時間も席を立ってはいけません」とかまったく理解できないルールがあることが疑問でしたし、そのことを先生に問いただしても「ルールはルールだから」というよくわからない答えにずっと不満を感じていました。

中学校でも学校の雰囲気やカリキュラムどおりに進めないといけない(らしい)授業がつまらなかったんですよね。

校則も多かったですし、ホントつらかったです。

 

親に相談したところ、「自宅でしっかり勉強するなら別に学校に行かなくてもいい」と言ってもらえて救われました。

どこでだって勉強はできる。

たまたまその場所が家だったということで、勉強を続けてさえいれば食べていけるだけのスキルを身につけられると信じて朝から夕方までは勉強。とにかく勉強。

全部の教科をやっていました。

学校に通わなくても義務教育期間は自宅に教材が送られてくるので、学校で習うような勉強もできました。

それとは別で図書館には変わらず通っていて、本を読み漁っていましたね。

 

基本的に“知らないことを知る”っていうことが好きなんだと思います。

英検にチャレンジして語学習得に力を入れ始めたのもこの頃で、いまではビジネスで通用するまでの英語や、日常会話レベルのフランス語を独学で身につけました。

PCスキルでいえば小学校時代に親が使っていたMacがあったので、Keynoteでオリジナルの絵本を作ったり、WordPressでのサイト制作やコーディングもやれるようになりました。

 

 

チャレンジから身に着けていく自分の強み

 

中学1年生から自宅での勉強に切り替えたので、当然高校進学にも興味はなかったんですが大学には行きたいと思っていました。

専門性が高い勉強ができますし、そこで得た学びが仕事につながると思っていたのですがお金もなかったですし、奨学金に応募するには条件が厳しかったし……。

そこで学費を稼ごうと、600席を超える大型レストランでアルバイトを始めます。

 

たくさんの人たちと触れ合うのでコミュニケーション力も伸ばせますし、規模が大きなところで仕事ができたらそれ以外の場所でも通用するだろうと思っていましたが、結局1年半働いて稼げたのは数十万円だけ。

レストラン内の多様な業務を一通り経験し、どこか違う場所で働かないと目標額を得られないことから、得意を活かしてオフィスワークをしようと思って派遣社員として小売商社で働き始めます。

 

そこでは英語翻訳をしながらWebサイトの更新、コーディングやカスタマーサービス(メール対応)など、自分がこれまでに身につけてきたスキルが、仕事として通用するんだということが確認できてやりがいを感じましたし、知識を実践することでさらに深い学びを得たいという気持ちが強くなりました。

 

ビジネスメールの書き方、クライアントとの折衝、社会人としての処し方を先輩社員から教わり、そのおかげで何度も注意されてきた「人の目を見て話すこと」がいまでは普通にできるようになりました。

その後、正社員として雇用されて業務範囲がさらに広がり、会社が扱っている商材の写真・動画撮影やWebマーケティングまでも担当することになります。

 

正社員になって9カ月経ったころ、信頼していた部長が社内事業を継承する形で起業することになり、その立ち上げに参加することにしました。

起業したい気持ちもありましたし、若いうちにやりたいことを実現するチャンスがあるのが魅力的でした。

力を発揮できる自分の姿が具体的にイメージできたこともあって、決断は早かったですね。

 

 

 

可能性に満ち溢れた ”新しい何か” の実現に向けて

 

2社目では伝統工芸品を海外に向けてPRするECサイトを運営していました。

何でもやらせてもらえましたし、外部の会社と協業するような自由さもあったので幅が広がったんですが、まだ実力不足で売り上げに苦戦していたこともあり、会社のあった鎌倉のコミュニティだけに留まらず、学びを求めて都内で開催されている勉強会やビジネス交流会に参加するようになりました。

PeatixやFacebook、知り合いのつてやイベントなどを介して感性の合う仲間や面白い人に会えて人脈が一気に広がりましたね。

ビジネスにすぐに直結することはありませんが、それまでコミュニティの小ささが理由で抱え込んでいた悩みも減っていきました。

 

そうすると自然と社内での学びがなくなってしまって、このまま働き続けるのは会社にとっても自分の成長にとってもプラスがないと考えて退職することに。

現在はフリーランスで仕事を受けながら、気になる場所を模索中のところです。

「これ!」というのがまだ見つけられていませんが、海外向けの通販サイトの運営経験と、今勉強しているWebマーケティングの知見を軸として、自身のスキルを磨いていきたいと思っています。

 

最近だと「折り紙世界一」という肩書きを活かして、ビジネス交流会で出会ったハウステンボスのコーディネーターと、実物のカブトムシと折り紙のカブトムシをフィーチャーしたイベント企画にも参加しました。

経験が活かせるのは楽しいですし、うれしいですし、やりがいも大きい。日本人で折り紙が作れて英語が話せるというのもこれからの時代の大きな武器かなと思っています。

やれることはきっと少なくないはずと、自信につながり始めているところです。

 

20代は学ぶ時期。ひたすら勉強・社会経験を極めていきたいです。

自身の幅を広げるために多くを吸収したいので、何か一つだけに固執することなく、いろいろな人と働き、多くを学びたいですね。

それを糧に30代には“新しい何か”を実現していくことが漠然とした目標です。